アトピー性皮膚炎の治療方法はさまざまあります。どのような治療があるか、まとめてみましょう。
まず皮膚科などでの治療法はスキンケア、そしてアレルギー反応の抑制、炎症の抑制などを目的とした薬による治療をしていきます。
それと並行して乾燥を改善するために尿素軟膏や白色ワセリン、亜鉛華軟膏などを使って保湿性潰瘍剤を使っていきます。また炎症に対してはステロイド軟膏などを使っていくことがほとんどです。
そしてアレルゲンの検査をして、分かる物は、最低限避けるようにという指導も行われます。
多くの人がその副作用を気にしているステロイドは、効果の強さが5段階あり、その状態、年齢などによって医師が処方します。
免疫反応を抑えてしまい感染症のリスクが高くなったりリバウンドなどの副作用があると言われています。また長期間使うことで、だんだん効き目が悪くなるので、強いタイプのものに移行していくことにも。
そして内服治療としては痒みを抑制するために、抗ヒスタミン薬を使うことがほとんどです。
もちろんこれらの治療と同時に、アレルゲンを避ける生活をしていくことも重要となります。そしてスキンケアもしっかり行わなければなりません。
また漢方での治療を中心にしている人もいます。それぞれの体質に合わせた漢方を投与することになりますが、その中でもアトピー治療として使われる代表的な漢方薬をご紹介しましょう。
まず1つが十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)で、冷え性、むくみやすい人に向いています。もう一つは白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)というもので、炎症の強い場合に向いています。
そして3つめは荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)で、炎症を起こしやすく血液が滞っているタイプに向いています。漢方の場合は薬剤師や漢方専門薬剤師などに自分の体質にあったものを選んでもらうといいでしょう。
そういう意味では漢方専門薬局などがおすすめです。このような東洋医学を一般の西洋医学の病院に通いながら、並行して行っている人も多いのではなでしょうか。
アトピー性皮膚炎と治療の流れについて
アトピー性皮膚炎が発症しても軽いうちは、なかなか病院に行かないケースも多いようです。特に小さい子供の場合は、少しの変化でも医師に連れて行くことが多いでしょう。
しかし大人になって発症した場合は、すぐにアトピー性皮膚炎と結びつかなかったり、軽いうちは自然に治るだろうと思ってしまうことも多いようです。
このようことによって、ひどくなるまで病院に行かないケースも。しかし病院に行くタイミングが遅いほど、ひどい状態になってしまいます。アトピー性皮膚炎の場合、できるだけ早く治療を行うことが大切なのです。
アトピー性皮膚炎は生まれつきアレルギー体質、また皮膚炎を起こしやすい素質を持っている人が、いろいろな悪化誘因によって発症すると言われている病気です。
もちろんアレルギー体質の悪化誘因は、ストレスのように検査をしても数値では結果が出ないものも。
しかしハウスダストや食べ物アレルギーのように数値ではっきり示されるものも多いので、アレルギー検査は必ず病院では勧めます。
アレルギーはアトピー性皮膚炎と合併しており、アトピー性皮膚炎を引き起こす最大の要因なので、検査をしてアレルゲンを知って多くことは、アトピーの悪化を抑えることにもなるのです。
そして最終的にはアトピー性皮膚炎の診断は医師の目視によるものが中心となり、アレルギー抑制剤や炎症抑制剤、抗ヒスタミン薬などが処方されます。
また軽い場合、ステロイドは内服薬ではなく軟膏やクリームタイプを処方していくことに。他にも軟膏には尿素やグリセリンなどが含まれています。
このようにアトピー性皮膚炎の治療の流れとしては、まず医師の診断を受け、処方された内服薬と外用薬を毎日続けることになります。
そしてアレルギー検査によって分かったアレルゲンを避けるような生活をしていくことも、治療を成功させる一環として行われるのです。あとは自分なりに体質改善の努力もしていくことが大切になります。
アトピー性皮膚炎・病院の治療とセルフケア
アトピー性皮膚炎は自分だけで改善するには、ちょっと難しい症状の場合も多々あります。とはいってもステロイドをたくさん使いたくない。それも当然のことです。
そこで病院の治療とともに、自分で行うセルフケアもとても重要になってきます。
まず医師による主な治療は症状によって薬を使い分け、スキンケア、アレルギー反応の抑制、炎症の抑制を行っていきますが、これらはすべて薬によるものです。
特に多くの人が気にしているステロイドは炎症の抑制に使われています。
年齢や症状の強さなどによってもステロイドのレベルや量は違い、医師の裁量にゆだねることに。
スキンケアとしては尿素軟膏、ワセリン、亜鉛華軟膏などの保湿成分が中心となっています。基本的には抑える治療とも言われています。
ではセルフケアについて考えてみましょう。まずアレルゲンがあれば、それを避ける生活を考えましょう。
花粉やハウスダストなどいろいろですが、それに合わせてシャットアウトできる部分は、できるだけシャットアウトするような努力が必要です。アレルゲンは病院で検査してくれます。
次に正しいスキンケアも重要です。まず石けんもアトピー性皮膚炎にも使える刺激の少ないナチュラルなものを使いましょう。
またスポンジなどでごしごししないように、優しく皮をめくらないような泡洗いを。そしてその後しっかり水分を拭き取ることも重要です。
水分がついたまま放っておくと、逆に毛穴から水分が蒸発しやすくなり、より乾燥肌になります。その後すぐに処方されているスキンケアクリームなどを塗っておきましょう。アトピーは保湿がとても重要になります。
また大人の場合は刺激物の摂取や、アルコールの摂取はできるだけ避けましょう。他にも寝具にも注意が必要です。
普通肌ならあまり気にならない布団の素材、汚れなどもアトピー性皮膚炎の場合は影響を受けてしまうので注意が必要したいもの。
毛布など、もこもこした優しい肌触りのものであっても、カバーを掛けるようにしましょう。汗も影響を与えてしまうので、寝間着も通気性の良い綿を使った清潔なものを着ます。
アクリルなどは静電気を起こし、肌を刺激してしまいます。他にもアクセサリーなどにも注意が必要です。
アトピー性皮膚炎の最新治療ガイドラインについて
アトピー性皮膚炎の診断や治療には、医師も治療ガイドラインを基本に進めていきます。最新の治療ガイドラインについて考えてみましょう。
最新のガイドラインというと、現在2016年アトピー性皮膚炎治療ガイドラインが発表されています。
東京大学、京都大学、九州大学、日本医科大、慶応大学、横浜市立大学等々の名だたる教授たちによって作成されているもので、アトピー性皮膚炎の定義、病態などによって診断ができるようにガイドされているものです。
そして医師は皮膚バリアの状態、アレルギー炎症の状態、痒みの状態などをチェックしていき、ガイドラインに沿って治療を遂行していきます。
診断基準としては急性病変か慢性病変か、どのような状態か、またどのような部分に見られるかなどもチェックしていきます。そしてアトピー性皮膚炎ではない疾患のチェックも。
接触皮膚炎、手湿疹、脂漏性皮膚炎、皮膚リンパ腫、単純性痒疹、乾癬、疥癬、免疫不全による疾患、汗疹、膠原病(SLE,皮膚筋炎)、魚鱗癬、ネザートン症候群など、これらの疾患でないことも確認することを指示されています。
つまり似た症状を持っている疾患と間違わない指導も書かれているのです。
また家族歴に気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎,アトピー性皮膚炎がないか。合併症として気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎の発症はないか。
毛孔一致性の丘疹による鳥肌様皮膚、血清IgE値の上昇などのチェック。他にも重要な合併症のチェックとして、白内障,網膜?離などないか、顔面の伝染性膿痂疹、カポジ水痘様発疹症などのチェックの指示などもあります。
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その上で症状の重傷度とステロイドの選択法などの指示もされています。またステロイド以外の薬のガイドもありますが、特にステロイドに関しては細かく指示されています。
他にも抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の使い方なども細かく指示されているので、それに従って、症状の状態と合わせて処方していくことになります。
このように治療ガイドラインを利用して医師は治療をしていくわけですが、症状は目で見て判断することも多く、医師の経験度や裁量も大きく治療には影響してくるとも言えそうです。