アトピーとは一言で言ってしまうと、私たちの持つ免疫力を司っている免疫細胞の暴走と言える免疫異常疾患です。
外敵として抗体を作り、少しでも外敵と認めた物質が肌に触れたり体内に入ることによって徹底的に攻撃をしてしまいます。そして攻撃の暴走が自分自身の細胞まで攻撃してしまうのです。
抗体とは何回か外敵から攻撃を受けると、免疫細胞はその外敵の型を記憶してしまいます。次回からはその外敵が肌に触れただけでも、一気に攻撃できるようになってしまうのです。
つまり花粉やダニなどの原因物質の抗体ができてしまうと、次からは少しでも肌についたり体に進入しただけで免疫細胞による攻撃が行われてしまいます。そのため結果として免疫の暴走となり、自分自身を傷つけてしまうのです。
原因物質にはいろいろありますが、細菌、花粉、動植物、薬物などが多いと言われており、これらに過剰な免疫反応が起こってしまうものです。
赤ちゃんの場合はダニやペットのふけや、部屋のほこりなどのハウスダストが原因となることが多いようです。また幼児の場合は卵、牛乳、小麦などの食べ物の原因が多いと言われています。
治療としてはワセリンや尿素を中心成分とした保湿剤で肌を守ったり、炎症を抑えるステロイド軟膏を使うことがほとんどとなります。
しかしステロイドには副作用のリスクが高いため、できるだけアレルギー体質を改善するための漢方薬やサプリなどを摂取して、改善努力をしている人も多くいるとのこと。
どうしても強烈な痒みがあるため掻いてしまい、また肌ががさがさになってより敏感な肌になってしまいます。赤ちゃんや幼児などは我慢することができないので、掻いた痕で傷だらけになってしまうことも。
細菌では免疫力を高めることがとても重要だということで、腸内環境を整えることも重要であると言われています。
腸内には免疫システムの60%以上が存在していることが判明し、免疫力を高めるのも低下させてしまうのも、腸内環境に大きく関わっているということも分かってきたのです。
アトピーと肌荒れの違いについて
アトピー性皮膚炎と肌荒れとの違いについて考えてみましょう。まずこの二つの症状も原因もまったく違います。
ただ、アトピーの軽い症状は、見たときに乾燥した肌荒れに似ている部分もありますが、まったく違うということについて考えてみましょう。
まずアトピー性皮膚炎は免疫の暴走と言われています。さまざまな物質についてアレルギー反応を起こしてしまいます。
つまりアレルギー反応とはアレルゲンに対して抗体ができてしまい、必要以上に反応し免疫が暴走してします。逆に自分の細胞を攻撃してしまうというものです。
それに比べて肌荒れとはいろいろな原因がありますが、特にアレルギーに関係することではなく、毛穴に皮脂や角質のカスなどが溜まってしまったことによる肌荒もあります。
毛穴に溜まってしまった細菌などが異常繁殖し炎症を起こしてしまうなどという場合も。
また肌の代謝が低下したことによって、角質の生まれ変わりがスムーズに行われずに、古い角質が肌に溜まってしまい、乾燥してしまう肌荒れもあります。
また皮脂分泌が低下したための乾燥肌や、逆に過剰分泌したことによる脂性肌なども肌荒れの原因となります。
このように肌荒れとアトピーでは原因もまったく違うと言えるでしょう。また症状もアトピーの場合は免疫細胞が暴走して自分の肌細胞を攻撃するため、強い痒みを起こします。
当然掻いてしまえば掻き壊しによる痛みも発生します。そして症状が出ていないときでも肌が赤く炎症したり、ガサガサに乾燥したりと皮膚をガードする部分が痛んでいることが見てとれるようになります。
肌荒れの場合は痒みはそれほど強くなく、カサカサしたりニキビや吹き出物のようにピンポイントに炎症を起こすことがあります。そして肌荒れは治りやすく、アトピーはなかなか治すのに時間がかかるということです。
また肌荒れは肌のケアによってすぐに改善しやすく単発的に起こりますが、アトピーは単純なスキンケアでは治ることではなく、アレルギー体質を治すことが必要になります。そして継続的に症状が起こる疾患です。
アトピーと白内障の関係
アトピーと白内障というと、あまり関係がないように感じるかも知れません。しかし、実はアトピー性白内障というものがあるのです。アトピー性皮膚炎の合併症として起こる疾患と言われています。
加齢によって起こると言われている加齢性白内障とは違うため、中高年になって起こるものではなく、20代や30代でも起こると言われている白内障です。
そういう意味では症状や状態な同じですが、白内障になる原因はまったく違うということになります。
アトピーはいろいろな部分に出ますが、特に目の付近の皮膚にひどい痒みを起こすことは多いようです。
アトピーの場合は痒みとても強く、例えばいったん痒みが治まったとしても、またそれを何回も何回も繰り返し慢性化してしまいます。アトピー性白内障の原因は、まだはっきりした原因は分かっていません。
しかし今一番考えられていることとしては、眼球の付近を掻いたり叩いたりする行為が繰り返されてしまうことから、眼球に傷をつけたりストレスを与えることによって白内障が起こると言われています。
症状としては視力が低下していき、かすむことも。一般の白内障と同じように明るいところは光をとてもまぶしく関し、暗いところでは今までよりずっと見にくくなります。
濁ってしまった水晶体は戻りませんが、進行を遅らせることは薬によってできます。
またどうしても悪化したときには、白内障の手術をすることになりますが、15分から30分で終わる、比較的安全な手術と言われているので、あまり不安になることはないようです。
アトピーと発達障害について
¥¥アトピーと発達障害には何かの関係があると言われています。まずある発達障害の子供のアレルギーに対するアンケートでも驚きの数字が出ています。
発育障害の子供の中でアトピーのみ持っているが17.1%、アレルギーのみ持っているが37.8%。どちらも持っているが34.4%、どちらもないが9.4%と言われているのです。
これによると発達障害を持っている子供の中で、アトピーを含むアレルギー体質の子供はなんと約9割ともなるのです。
発達障害の人はとても敏感な感覚を持ち、脳や臓器自体も敏感であると言われています。肌も当然敏感な人が多く、アトピー性皮膚炎が多いのも当然かも知れません。
特定の音や光にとても敏感で、一般的に何とも感じないような雑音も、異常に辛く感じるということも。わたしたちでも、あまりにも聞きたくない音を、ずっと聞かされていたら狂ってしまいそうになるのではないでしょうか。
このように発達障害を持っている人は、一般の人よりとても辛い毎日を送っていることにもなるのです。
また発達障害を持っていると、つらいことも上手に伝えることができずに、感情をはげしくむき出しにしてしまうこともあると言われています。
そのために本人もとてもつらく、回りの人もどうしていいか分からないという難しい状況にもなってしまうことも。
そのためすみやかに薬などを使って、とにかく痒み、痛みを取り除くことが大切になると言われているのです。
確かに現在アトピーの症状を速効抑えるためにはステロイドが効果的と言われています。しかしステロイドの副作用には多くの不安があり、できれば使わずに体質改善からすすめたいというふうに思っている人が多いことも現実です。
しかし発達を持っている場合は、ステロイドを使ってでもまず痒みや痛みを抑えてあげないと、とても苦しい状況になっていきます。
特に発達障害を持っている場合は医師との連携で、しっかり様子をみながら治療をしていくことが大切になります。